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キッチンのお役立ち情報

キッチンイメージ

雑然とした台所を、思わず人に見せたくなるような、きれいでお洒落なキッチンへと生まれ変えたい。

でも、キッチンは毎日の食事をこしらえる作業場です。

夢を追うあまりに、見てくれだけが立派な、実用性の低いものになってしまってはいけません。

ご自身が満足で来るキッチンのためにどうリフォームを考えたらいいか。そのヒントにしていただければ嬉しいです。

キッチンで暮らしを良くする

ズバリ、暮らしのスタイルがキッチンを決めるのです!

「この前、雑誌で見たキッチンが素敵だったわぁ。

ほら、これよ」(と、その雑誌の特集記事を私に見せる。

外国製のお洒落なシステムキッチンだ)「ねぇ?素敵でしょう。こんな風にお願いするわ」

はい、もしお望みならそうしましょう。

でも、そんなに簡単に決めてしまっていいのですか?

想像してみましょう。

憧れだった外国製のシステムキッチンを手に入れたあなた。

そこには大きくて立派なオーブンがついてます。

でも、本当に必要ですか?外国と違って、日本ではオーブン料理はそれほど主流ではありません。

オーブンの中が物置きになってしまっているキッチンを、私はいくつも見たことがあります。

自動食器洗い機はどうでしょうか?

大きくスペースを取っていて、家族の全員の食器をいっぺんに洗えるだけの容量があります。

でも、もし家族の食事の時間がまちまちだったら?

全員の食事が終わるまで、汚れた食器はシンクの中にそのままですか?

それではかえって気持ちが落ち着かず、案外、こまめに洗った方が気持ちがいいかもしれません。

誤解してほしくないのですが、これは外国製のシステムキッチンが駄目だと言っているのではありません。

ただ、ある人にとって使いやすいキッチンが、あなたにも使いやすいとは限らないのです。

キッチンには、ご家庭の数だけその理想型があります。

大切なのは、あなたがキッチンになにを求めているか?

どういうキッチンにすれば使いやすくなるのか?ということなのです。

キッチン・リフォームの相談を受けるとき、私は失礼を承知で、できるだけ踏み込んだ質問をするようにしています。

キッチンを主に使う人(まぁ、奥様が多いですが)の性格、家事のやり方、料理をするのが好きなのか、整理整頓が得意か、一家団欒の場所は食事の場か居間か、そこで子供達が宿題をすることはあるのか、ご主人は仕事を持ち帰る人なのか、冷蔵庫などの電化製品を買い替える予定はあるのか、などなど。そこには理想のキッチンにするためのたくさんのヒントが隠されています。

雑談から得ることもたくさんあるのですよ。

例えば、「最近、息子とうまく会話できなくて・・・息子も話をしたいとは思っているようなのだけど、お互い何を話したらいいのかがわからなくて…」話すきっかけがつかめない。

お子さんが大きくなればよくあることです。

私はそのまま雑談をつづけるようにしました。

「食事が終わると、私は後片付けやお弁当の準備でキッチンに入ってしまいますし、息子はソファに座ってテレビを見ていることが多いですね」などなど。

こうした話を元にして、時間の流れや、家族の生活シーンを頭に思い浮かべます。

どうすれば、息子さんとの会話がしやすいキッチンになるのか?

お互いがしていることが見えれば、きっと話すきっかけも生まれるのではないか?

だとすると、リビングとキッチンが独立していない方がいいかもしれないな、などなど。

「明日のお弁当のおかず、今日の残り物でいいかしらね」「うん、きんぴらが美味しかったから入れてほしいな」「あ、テレビで今から面白いことやるよ。お母さんもちょっと見なよ」「ほんと?でも、今は手が離せないないのよ。後で話して聞かせて」。そんな会話を想定しながら、プランをたてていくわけです。

そうやって作り上げたキッチンは、きっとあなたの希望に沿った、いやそれ以上の満足を感じることのできるものになるはずです。

デザインはもちろん大切な要素ですが、キッチンが家族を支える生活の場であることも、どうか忘れないでください。

キッチンのスタイルと留意点

さぁ、ここからは、より具体的なお話に入っていきます。

キッチンと一口に言いましても、いくつかのスタイルに分かれます。

それぞれに特徴があり、人によって好みや向き不向きがありますので、じっくり選んでみましょう。

独立型

キッチンと食事の場が完全に分かれた、昔ながらのスタイルです。

メリットは、煙や臭気、音などが他の部屋に流れることが少なく、衛生的であること。調理中の雑多な状態が目につかないので、キッチンを作業場として割り切り、ゆっくりと落ち着いた食事をしたいという方に向いています。

デメリットは、キッチンで作業している人が孤立すること。今はこれを嫌う人が多いですね。

独立型キッチン
独立型の注意点

キッチン内で料理作りから配膳までの作業ができるスペースが必要です。

配膳スペースを取り忘れると、キッチンとダイニングを行ったり来たりすることになって、疲れます。

オープン型

キッチンがダイニングやリビングと一体化したスタイルです。

狭いスペースを有効に使えるので、作業動線が短くなり、調理→食事→休息といった生活のリズムが途切れることなく、スムーズに行えるのがメリットです。

デメリットは、煙や臭気が拡散した中での食事となるため、落ち着かないこと。そして、雑多な状態が目につくことです。

オープン型キッチン
オープン型の注意点

すべてが丸見えのオープン型だけに、収納計画はしっかりとたてましょう。

調理中は作業場であっても、いざとなればすぐに片付くように計画することが必要です。あと、換気対策もしっかりと。

アイランド型

オープン型の一種で、シンクやコンロを備えた調理台を、部屋の真ん中に島(アイランド)のように独立させたスタイルです。

メリットは、家族が調理に参加しやすいこと。

調理台を囲んでみんな作業ができるし、キッチンに立つ人も団欒に参加しやすいです。

お洒落な雰囲気を出せることもあって、人気があります。

デメリットは、オープン型同様に、煙や臭気が拡散しやすいこと。

そして、島の部分にコンロがある場合は、換気が問題です。

また揚げ物を作るときの、油のハネなどもよく指摘されます。

アイランド型キッチン
アイランド型の注意点

果たして家族は調理に参加するようになるのか?

あなたは彼らに参加してほしいと本当に思っているのか?

それをよく考えましょう。

お洒落な雰囲気に憧れてアイランド型にしたものの、キッチンのゴチャゴチャが丸見えでお洒落とはほど遠かったり、きちんと片づけをしない夫や子供達には、やっぱりキッチンには立ってほしくないと思ったり、という話も聞きます。

きれいな状態を保つために多大なエネルギーを要するのでは、ストレスばかりが溜まることにもなりかねません。

セミオープン型

「作業場と食事の場は切り離したい」でも「キッチンに立っているときに、家族から孤立するのは嫌だ」

そんな2つの希望を実現しようと登場したスタイルです。

キッチンとダイニングを、カウンターや腰壁、ハッチスタイルの家具などで区切ることで、独立型とオープン型のメリットを兼ね揃えており、分譲マンションや戸建て住宅でも主流となっています。

セミオープン型キッチン
セミオープン型の注意点

独立型とオープン型もプラス面があるということは、双方のマイナス面もあるということです。

配膳スペースの確保、換気の問題、そしてキッチン内の雑多なものが見えずに調理している人の顔は見える、というのも重要なポイントでしょう。

キッチンの導線と使い勝手スタイルと留意点

キッチン動線を考えよう

ここからは毎日の調理や作業を、無駄なく、効率的に、素早く、しかも楽に行うための「作業動線」とそのために必要なスペース割りについて考えてみたいと思います。

いや、ほんとに使いにくいキッチンってあるんです。

せっかくリフォームしたのに、疲れが倍増したなんてシャレになりませんからね。

しっかり覚えましょう!

まずはa)~d)までの4つの図を見てください。

それぞれにシンクとコンロの位置が異なっています。

あなたなら、どれが一番使いやすいと思いますか?選んでみましょう。

キッチン導線

決まりましたか?

キッチンでは、このスペース割りが非常に重要なのです。

効率の良い作業動線を生み出すには、次の5つのスペースが不可欠となります。

  • 食材などを置く(ポンのスペース)
  • シンク(ジャブジャブのスペース)
  • まな板の上で食材を切る(トントンのスペース)
  • コンロ(ジュージューのスペース)
  • 配膳スペース

これから私は、それぞれのスペースに関して気をつけるべきポイントをお話していきます。

すべての話が終わったとき、正しいスペース割りは自ずとわかるはずです。さぁ、あなたの選んだキッチンは使いやすいのでしょうか?

食材などを置く(ポンのスペース)

食材や水切りかごなどを置く「ポンのスペース」は、キッチンの端っこ、シンクの横がいいでしょう。

必要なスペースは各ご家庭で違ってきますが、少し広めにとることがポイントです。

例えば、このスペースの下に60cmの食器洗い機を組み入れるなら、65cmくらいがちょうどいいでしょう。

このスペースの横に冷蔵庫があるとさらに便利です。

シンク(ジャブジャブのスペース)

「とにかくシンクは大きい方がいい」と考えていらっしゃる方がときどきいますが、一概にそうとも言えないのです。

やはり大切なのはバランスで、キッチンの間口が狭いのにジャンボ・シンクを組み入れると、食材を置くスペースやまな板での作業スペースが確保されずに困ったキッチンになってしまいます。

大家族でいつも2人並んでシンクの前に立つわけでなければ、65cm~85cmくらいの大きさがあれば十分だと考えます。

まな板の上で食材を切る(トントンのスペース)

まな板を置いて食材を切ったりする「トントンのスペース」は、シンクとコンロの間がちょうどいいです。

作業しやすいキッチンにする上で、この寸法はとても重要なポイントになります。

切る作業をゆったりと行えて、さらに「水を入れた鍋をコンロに置く」「ゆでた野菜のゆで汁をシンクに流す」といったことを、歩かなくてもできるサイズが最適です。

目安としては、スペースの真ん中に立って両手を広げたとき、シンクとコンロの中心が腕の中に収まるくらいがちょうどいいです(例:身長が160cmの人なら90cm)。

あまり広すぎると悪名高い「カニ歩きキッチン」になってしまい疲れます。

また、狭くても75cmはとりたいところです。

コンロ(ジュージューのスペース)

コンロの寸法は、さすがにこちらでどうなるものではありません。一般的には60cmくらいです。

後でまた触れますが、今はIHクッキングヒーターが大人気です。

これはガスと違って平面なので、使っていないときは有効なスペースになります。

配膳スペース

やかんを置いたり、天ぷら鍋や煮物をした鍋を置いたり、出来上がった料理を盛り付けたり、というのに必要なスペースです。

やはりコンロに近くて、余分に歩かなくて済む場所にあってほしいものです。

このスペースは広すぎて困ることはありません。

できれば45cm~60cmあると便利です。

狭いキッチンならば、スライド式のテーブルを設置するという方法もありますね。

コンロの横がぴったり壁になっているキッチンをよく見かけますが、鍋などを置く場所がないばかりか、肘が壁にあたったりと、あまり調理しやすいとは言えません。

まず食材を置く「ポンのスペース」→野菜などを洗うシンク「ジャブジャブのスペース」→食材を切る「トントンのスペース」→食材を調理するコンロ「ジュージューのスペース」→出来上がった料理を並べる配膳のスペース。

いかがでしょう。

もしあなたのキッチンが、こうした順番で動けるように適切な大きさで作られていれば、無駄な動きが減ると思いませんか?

つまり、正解はc)ということになります。

作業動線は、キッチンリフォームをする上でもっとも重要なポイントなのです。

では、キッチンのタイプ別のスペース割りをいくつか示しておきます。参考にしてみてください。

キッチンタイプ別スペース割

知っ得ポイント点

冷蔵庫の位置

冷蔵庫は家族みんなが開けるものです。

たまにキッチンの奥に冷蔵庫が置かれているのを見かけますが、これでは調理中に家族が冷蔵庫を開けにくるたび、調理している人が妨げとなってしまい、あまり好ましくありません。

家族みんなが気兼ねなく冷蔵庫を開けられるように、リビングやダイニングに近い位置にスペースを取りましょう。

ゴミ箱のスペース

皆さんのキッチンでは、ゴミ箱はどこに置かれてますか?

案外、床の隅に無造作に置かれているのではありませんか?

私もたくさんのお宅でキッチンを見てきましたが、最初からゴミ箱のスペースを考えて設計されたキッチンは数えるくらい。

必ず必要なもののはずなのに、ちょっと不思議な気がします。

つい忘れがちなスペースですが、これからはゴミの分別もさらに細分化していくことを思えば、しっかりと確保しておきたいものです。

システムキッチンの高さと奥行きの問題

「リフォームしてきれいになったのはいいけど、奥の物に手が届かなくなったわ」

「なんだか、腰を痛めちゃって…」

「あたしは肩こりがひどくなったみたい。どうしてかしら?」

おやおや、これではリフォームした甲斐がありませんね。

キッチンリフォームをする際、気をつけないといけないことに、高さと奥行きの問題があります。

キッチンには「作業しやすい高さ」というのがあります。

一般的には、食材を切るときの高さが「身長×1/2+5cm」だとちょうどいいと言われています。

身長が160cmの人であれば、85cmがベストということになります。

この高さが低すぎると腰を痛めることになり、高すぎると肩こりの原因になるのです。

また、コンロは、手を下にさげた状態で、手のひらを床と平行にしたときの高さが望ましいとされています。

つまり、食材を切るときよりも低い方が、調理しやすいというわけです。

これが高すぎると、やはり肩がこります。できれば10cmほど低いといいでしょう。

システムキッチンは、高さ85cm、奥行き65cmというサイズが一般的です(高さは80cm~90cm、奥行きは60cm~75cmで、選べることが多いです)。

これまであなたが使っていたキッチンよりも、高さ・奥行きともに平均して5㎝~10㎝づつ長くなります。

高さはともかく、奥行きが長くなるということは作業面が広くなるわけですから、上手に使えば有効と言えます。でも、ちょっと下の図を見てください。

システムキッチンの高さと奥行き

どうですか?

これまで届いていた出窓に手が届かなくなっているでしょう。

メーカーの製品を購入する場合、こうした問題をすべてクリアにすることは、残念ながらできません。

完全オーダーで作るという方法もありますが、さすがに費用はかさみます。

では、食材を切る台の高さは、高すぎるのと低すぎるのとどちらが良いのでしょうか?

高すぎる場合は、かかとのあるスリッパを履いたり、すのこを置いたりで解決することはできますよね。

しかし、低すぎるからといって、身長を縮めるわけにもいきません。

食材を切る台(トントンのスペース)は多少高くても、コンロ(ジュージューのスペース)の高さを背丈に合わせていれば、それぞれに対応できると言えそうです。

キッチン収納あれこれ

まずは整理整頓から

「収納スペースが足りないのよね…」。

キッチンの悩みで圧倒的に多いのがこれです。

リフォームするときにも「収納スペースはたっぷりとってください」とお願いされることが多いですね。

キッチンには本当にたくさんのものがありますから、この気持ちはよくわかります。しかしです。

ほんとに全部が必要なものですか?

まずは収納を増やすことを考える前に、整理整頓をしてみませんか?

「毎日使うもの」「年に数回使うもの」「全然使わないもの」に分け、使わないものは人にあげるなり捨てるなりしましょう。

見切りをつけるのが苦手な人は、家族に手伝ってもらうといいでしょう。

それだけで随分とすっきりするはずです。

たくさんのものに囲まれているのは豊かであるとか、処分するのがもったいないという気持ちもわかりますけど「いらないものを抱えていても豊かじゃない」という発想に切り替えていかないと、せっかくリフォームしたキッチンも、数年すればきっとまた同じように雑然としてくるはずです。

なにを、どこに、どうやって納めるか?

作業しやすいキッチンであるかどうかは、先ほどお話した作業動線(スペース割り)に合った収納がなされているかで決まります。

これがうまくいくと、あなたは余分な一歩を歩くことなく、ほしいときにほしいものが手に届く、大変使い勝手のいいキッチンを実現することができます。

ぜひ、そうしたいものですね。

ここでは、もっとも基本的な道具や機器の配置場所について具体的にお話しましょう。

白状しますと、これからのお話は当会でリフォームされたお客さまからのアンケート結果を元にしています。

さすがに私も、実際の家事に関しては、毎日こなされているみなさんにアドバイスできるものではありませんからね。(ご協力いただいた方々、どうもありがとうございます)

<調理用具>
  • 鍋:よく使う鍋はコンロの近くに。小さな鍋はシンクのそばでもいいでしょう。土鍋や圧力鍋などの季節的なものや、あまり使わないものは、離れた場所に。
  • やかん:コンロの上でいいのですが、他でコンロを使うときに置くスペースが決まっていると便利です。
  • ボウル、ざる:これは野菜を洗ったり、材料をまぜたりするわけですから、シンクの近くですね。
  • お玉、フライ返し、菜箸など:これらの位置は非常に重要です。シンクとコンロの間がベストですので、ここに引き出しがないと不便に感じます。
  • ラップ、ホイルなど:手が届きやすい引き出しがいいです。吊り戸棚に重ねて置くのもいいかもしれません。
  • 洗剤、スポンジなど:シンクに専用の置き場を作ってしまうことをお勧めします。吸盤式のホルダーをつけているのをよく目にしますが、汚く見えます。
<食器など>
  • 食器:よく使う食器は盛り付ける場所(配膳スペース)の近くにあると大変便利です。来客用の食器は、無理に詰め込まず、ダイニングの食器棚でもいいでしょう。
  • 保存容器:よく使うものは食器と同じように、手の届きやすい場所がいいですね。あまり使わないものは、離れた場所で構わないです。
  • お盆:配膳スペースの近くに。取り出しやすい場所にあるかないかで、使用頻度が大きく違ってきます。
<食 材>
  • 米:ハイザーでもいいのですが、あれは体積をとり掃除もしづらいという声もありました。ケースに入れてシンクの下や、シンク脇の引き出しに入れていると便利です。もし長期保存するのなら冷蔵庫がいいでしょう。
  • 乾物、缶詰:開封済みのもの(マカロニ、素麺、ワカメなど)は、すぐに使えるようにコンロとシンクの間の引き出しがいいです。ストック分は離れた場所でいいのですが、よく見えるように置きましょう。
    まだストックがあるのに、次から次へと買ってしまうということがないように…。
  • 調味料:コンロとシンクの間がいいですね。これも専用の入れ物を用意すると大変便利です。
  • みかん一箱、じゃがいも一箱など:こういった贈答品は、無理にキャビネットなどに移しかえるよりも、そのまま放り込んだ方がいい場合が多いです。ですので、なんでも放り込んでおけるスペースをあらかじめ用意しておくことも、スマートなリフォームに繋がるでしょう。
<家電製品>
  • 冷蔵庫:これに関しては既に触れていますが、シンクとダイニングの両方に近い場所に置きましょう。
    扉の右開きか左開きかも大切なポイントです。また、買い換えを考えている場合は、どれくらいの大きさの冷蔵庫にするのかをしっかりと想定し、スペースを確保しておく必要があります。
  • 電子レンジ:調理に利用するのか?それとも温めるだけなのか?それによって置き場が変わります。調理に使うならコンロの近く。温めるだけならダイニングでもいいです。
  • 炊飯器:蒸気が出るので、換気ができる場所が望ましいです。ダイニングのワゴンやカウンターに置くケースも多いです。
  • トースター:これも各自が自分でパンを焼くのなら、ダイニングのカウンターの上がいいでしょう。
  • その他の機器(ポット、ジューサーなど):これらは各家庭の使用頻度で大きく変わります。よく使うのであれば、使いやすい位置にスペースを確保しておくことです。

吊り戸棚、引き出し式収納の注意点

例えば、吊り戸棚の上の方などは、どうしても使わない空きスペースになりがちですよね。

もったいないなぁといつも思います。

かといって、違う種類のものをあれこれと積み重ねたのでは、上のものしか使わなくなってしまいます。

そうならないためには、棚板を増やしてみることをお勧めします。

吊り戸棚・引き出し式収納

吊り戸棚が上下に稼動するリフトダウン式のものもあります。

これだと、高いところにあるものや、奥に置いたものが簡単に取り出せるというメリットがあります。

ただし、収納できる容量が減ってしまうこと、あまりたくさんの物を乗せると上げ下げが大変だったりというデメリットもあります。

キッチン収納は圧倒的に今は引き出し式が主流です。

これは以前の扉式のものに比べ、1.5倍の収納力アップになります。

というのは、奥の方に入れたものを棚ごと引っ張り出せるのは大変都合がいいからです。

しかしだからといって、収納を全部引き出しにしてしまえばいいというわけことでもありません。 

例えば、シンク下の収納を間口の広い引き出し式にしたとしましょう。

シンクの前はよく立つ場所。

ここによく出し入れするものを入れた場合、シンクの前に立ったまま開け閉めすることができず、その都度体をバックさせないといけなくなります。

ご自分のキッチンやり方やスペースを良く考えましょう。

どんなに便利なものも、適所にあって初めて本当に便利になるのです。

「これが人気です」「これが主流です」「これなら安心です」などと言われてその通りにしてみたけど、使ってみたらそうじゃなかったということにならないように、皆さんも気をつけましょう。

IHヒーター・食洗機・浄水器・オープン

キッチンリフォームをするときに、皆さんが思い浮かべる機器の代表選手が、IHヒーター、食器洗い機、浄水機、オーブンではないでしょうか。

どれもうまく使えば大変便利なものばかり。

とはいえ、すべての人に必要なものとも限りません。

なにも考えずにこれら全部を取り入れてしまうと、せっかくのスペースが無駄になることもしばしばです。

では、ひとつひとつについて検証してみるとしましょう。

IHヒーター

ご家庭のオール電化や太陽光発電の普及などに伴い、増々需要が高まってくる機器です。

メリットを列挙してみましょう。

まず弱いと思われている火力ですが、IHヒーターは200V仕様ということもあって、大変火力が強いです(古い家やマンションですと100Vのため、IHヒーターが使えない場合があります。注意しましょう)。

さらに、電源を入れても鍋を置かないと発熱しないため、小さなお子さんやお年寄りがいる家庭も安心です。

表面がフラットなので、調理に使っていない面は配膳などのスペースにもなります。

掃除もしやすく、汚れがちなコンロ廻りを清潔に保てます。

電気の調理は空気を燃やさないので、室内の空気も汚れません。

夏場は火をつかった料理がつらいですが、あまり暑くならないのも助かりますね。

ガスだと水蒸気が発生して冬の結露の原因にもなりますが、IHヒーターならその心配もありません。

デメリットとしては、専用の鍋やフライパンが必要です。

鉄製であれば大丈夫。

しかしこれが重量のあるものになっています。

けっこう重いので、アルミ製の軽いものになれている方は、辛くなるかもしれません。

また、中華料理を豪快に火であおるような調理が好きな方には、物足りないかもしれません。

IHヒーターを選ばれると、家庭内でガスを使うものは給湯機くらいになります。

そこでお湯も電気で湧かすようにして、家をオール電化にする人も増えてきています。

こうしたことも、頭の片隅に入れておくとよろしいでしょう。

IHヒーター

食器洗い機(食器洗い乾燥機)

「料理は好きなんだけど、後片付けが嫌いなのよ」

そういう人達から熱烈な支持と期待をもって迎えられたのが、食器洗い機でした。

もちろん喜んだのはそういう人達ばかりではありません。

家事という重労働に従事するすべての人にとって、画期的な機器の登場だったと言えます。

「食後の時間を有効に使いたい」。

誰だってそう思いますよね。

ただし、どこの家庭にも必要なものではなさそうです。

メリットは、後片付けの時間を他のことに使える点。

これがなによりも大きいでしょう。

あと、片付けが億劫だからと、使う皿の数を押さえている人はいませんか?

その必要もなくなりますから、食卓が豊かで楽しいものになります。

70℃という高温で洗浄するため、洗い上がりもキュッキュッと大変に気持ちがいいものです。

少量の水を循環させて使用するので、流しっぱなしでの手洗いよりも少ない水で済みます。

デメリットは、まず時間がかかることでしょうか。

手で洗えば15分で済むところが、食器洗いだと1時間近くガタガタと動いていたりします。

これを嫌う人はけっこういますね。

お湯で使うタイプですと短時間で洗い上りの出来るものもあります。

あとよく問題になるのは、家族の食事の時間がまちまちな家庭の場合。

その都度食器洗い機を使うのは、経済的にも気持ちの面でもお勧めできません。

かといって、家族全員の食事が終わるまで使った食器を放っておくというのも、あまり気持ちのいいものではないでしょう。

それこそこまめに洗ってしまった方が、よっぽど精神衛生上いいという話はよく聞きます。

また、子供達が独立して2人だけになった家庭では、わざわざ大きな食器洗い機を動かすよりは、やはり自分で洗ってしまうことが多いようです。

こうした場合、高価な食器洗い機がただの食器入れとして使われてしまうことも多く、もったいないなぁといつも思います。

上手に使えれば、とても嬉しい機器である食器洗い機ですが、それはやはりご家庭の事情にもよるのです。

食器洗い機(食器洗い乾燥機)

浄水機/アルカリイオン整水機

水と空気は、これから先もずっーと注目を集めつづけるであろう永遠のテーマです。

「おいしい水を飲みたい」健康志向が叫ばれる現代、水に気を配る方は大変多いです。私もとても気になります。

そういうこともあってか、既に浄水機や整水機をキッチンに取り付けている人も多いですね。

中にはじっくりと好みのものを選んでいて、「もうこれ以外のものは使いたくない」と言ってくる人もいます。

「リフォームしても、この整水機はこれからも使っていきたいんだ」と。

はい、もちろんそれは可能です。

しかし、サイズなどによっては、キッチンの中に収納することができない場合もあります。

そうなると、機器をシンク近くに外付けすることになります。

浄水機/アルカリイオン整水機

オーブン

外国において、オーブンはもっとも重要な調理機器です。大皿に乗せた料理をオーブンに放り込む。

映画などでもよく見るシーンです。

そんなイメージも手伝って、システムキッチンといえば、コンロの下に大きなオーブンが付いていることが多かったです。

しかし、これは本当に必要でしょうか?

「あら、うちはオーブン料理が多いのよ」

そういう家庭なら心配いりません。

ビルトイン・タイプの大きなウォール・オーブンは、きっと大活躍してくれるはずです。

逆にあまりオーブン料理はしないというのなら(きっとこういう人の方が多いと思うけど)、ほとんど使わないことになるかもしれません。

中をのぞくと缶詰やら大皿やら…、すっかり物置きと化しているオーブンを何度見たことか…。

もしあなたがオーブン料理をあまりしないのなら、電子レンジ機能と一緒になったフリー・タイプのものをカウンターの上に置くのが、一番使い勝手がいいでしょう。

オーブン

明るいキッチンにするには

寒い冬の朝、あなたの立つキッチンが暗く冷たかったら、それはとても悲しいことではないでしょうか。

家の中で一番早く活動する場であるキッチン。

やはり明るく楽しい場所でありたいものです。

縦長な窓の効果

キッチンには十分な収納スペースを確保する必要があるため、どうしても壁面が多くなります。

しかし、光を取込んで明るくするには窓が必要です。

窓を大きくすればキッチンは明るくなりますが、その分、収納スペースは減ってしまいます。

ここでひと工夫です。昔ながらのキッチンには、小さな横長の窓が付いていることが多いですよね。

この窓の面積をそれほど変えずに、縦長にするだけで、光の入り方は格段に違ってきます。(図を参照)。

縦長の窓の効果

いかがですか?

窓の高さによって、これだけ光の入り方が違うのです。

少ない面積でたくさんの光を取り入れたいのなら、幅が狭くても、縦を長くするというのはとても重要なポイントです。

素材と照明でもうひと工夫

せっかく窓を縦長にして光が入るようになっても、キッチン全体の色が暗いようでは、明るいイメージのキッチンにはなりません。

色には、吸収色と反射色があります。

白っぽい色なら、100の光も120くらいに感じますし、逆に茶系統の色だと、100の光が80くらいに感じられます。

また、つるつるした素材の方が、ざらっとしたものよりも光を反射して明るく感じられます。

そういう意味でも、白くてシンプルなキッチンは、手入れがしやすいというだけでなく、明るさの面からいってもお勧めです。

床もフローリングなら明るめの色、クロスは収納家具などで隠れてしまいがちですが、全体のバランスと明るさのことを考えて決めるといいでしょう。

また、どうしても光を取り入れにくい間取りだったり、夜に調理することを考えた時、照明器具も重要な要素になります。

キッチンは作業場ですから「明るく見やすい」が基本です。必要とされる照度は年齢によって変化します。

20歳の人に比べて、40歳の人は1.8倍、50歳で2.4倍、660歳で3.2倍と言われています。

高齢な人が使うキッチンなら、明るさには一層気をくばる必要があります。

キッチンには、昼間の光に近い蛍光灯が良いとされています。

さらに演色性の優れたものなら、素材や料理の色合い、鮮度の確認にも向いています。

最後に

いろいろと書いてきましたが、ご参考になりましたか?

キッチンは今や家の主役です。

家族が集う場であり、生きていく糧を生み出す場であり、明日への活力を創造する場でもあるのです。

使いやすいことはもちろん、明るく楽しく、思わず笑顔がこぼれるような、そんな空間であってほしいものですね。

そして最後になりますが、キッチンリフォームでなにより大切なのは、皆さん自身がショールームに足を運んで、実際にその目で見て、手で触ってみることです。

ここで私がお話したことは単なる知識です。

聞いてわかったつもりでいることも、実際に触れてみると大分印象が違うものですよ。

どうか人の話やカタログだけで決めたりしないで。

カタログの写真は、プロのカメラマンが撮った作品です。

キッチンの本当の姿は、あなたがそれに触れたときの感覚のその向こう側にあるのですから。

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